技術


  1. AI 技術により、画像検査をより高速により正確に
    従来の画像検査では、技術者が一つ一つ判断し、欠陥部をマーキングしなければなりませんでしたが、本アプリケーションでは、大量の欠陥部を自動で一度にマーキングしてくれますので、技術者は、その確認のみで済むことになります。そのため、属人化した検査とはなりません。

  2. 各解析・検査に特化したアプリケーションをより安価にご提供
    従来の画像検査アプリケーションは、非常に高価(数百万)であり、汎用的にできているため、使いこなすのに一苦労です。本アプリケーションでは、お客様が必要な解析・検査のアプリケーションだけを利用可能(導入コスト低)で、初心者の方でも使いやすくなっております。

  3. AI の自己学習機能により、アプリケーションを使えば使うほど精度高く
    お客様が解析・検査を重ねていくと、データが蓄積され、AI がそれらのデータを学習し、欠陥部を検出する精度が継続的に向上していきます。


ボイド率測定における課題


従来の画像検査ソフトウェアでは、2値化による画像処理手法が一般的でしたが、2値化閾値を適切に設定しなければならなく、陰影の異なるボイドを一度に自動検出することができませんでした。ビア、メッキまたはビアからの反射、一貫性のない照明、ノイズ等の課題のため、ロバスト性高くボイドを自動検出することは困難でした。これらの課題に対し、本アプリケーションでは、深層学習を用いたアプローチにより、自動検出性能を大幅に向上しております。

VoidRoidでの処理例

画像セグメンテーション技術


本アプリケーションでは、画像中のボイド部を検出するため、画像セグメンテーション技術を用いております。画像セグメンテーションとは、画像の各画素が何(どの分類)に属するのかを求める画像処理技術です。主にU-Netというモデルを用いて実現しています。U-Netは、2015年に発表されたencoder-decoderのFCN(fully convolution network)の1つであり、特に生物医科学(biomedical)用途で成果を上げているモデルです。畳み込まれた画像をdecodeする時に、encode時の情報を伝播することによって、より精度の高い、ピクセル単位での分類が可能となっています。

U-Net

“U-Net: Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation”, Olaf Ronneberger, Philipp Fischer, Thomas Brox, 19 May 2015

教師あり学習


本アプリケーションでは、上記のU-Netを教師あり学習により訓練しています。教師あり学習とは、機械学習の手法の一つです。大量の生データを用いてデータセットを準備し、それらを「例題」とみなしモデルの訓練を行い、新規の未知データが与えられた時に、モデルが判断や予測ができるようになるという学習手法です。当社は、大量の検査及び実験データを持っていることが強みであり、独自のデータセットを構成しております。

教師あり学習

GAN


本アプリケーションでは、GANという技術も採用しております。GAN(Generative Adversarial Network)とは、イアン・グッドフェローらが2014年に発表したアーキテクチャです。このアーキテクチャは、「用意されたデータから特徴を学習し、擬似データを生成する」Generatorと、「本物のデータと疑似データを判別する」Discriminatorという2つのブロックで構成されています。Generatorは、Discriminatorに"偽物"だと判別されないように、"本物"そっくりのデータを生成するように訓練され、Discriminatorは、Generatorが生成した“偽物”か、あるいは訓練データとして用意された“本物”かを判別するように訓練されます。この2つのモデルは、相互作用し競い合うことで、より精度が高くなるように訓練される仕組みになっています。

GAN(Generative Adversarial Network)

“Generative adversarial nets”, I. Goodfellow et al., in Proc. Int. Conf. Neural Inf. Process. Syst., 2014, pp. 2672–2680.

従来手法との比較結果例


従来の2値化による画像処理手法との性能比較をしました。評価試料として、内部にダイボンディング部があり、実装後にダイボンディング材とはんだ材で陰影が生じる TO-263 型パッケージを選定しました。市販のはんだペーストを評価基板の Cu パッド上(10.8 mm×8.5 mm)に約 200 µm 厚で印刷し、大気雰囲気でリフローを行いました。その後 X 線透過装置(Cheetah、YXLON 社製)にて X 線画像を取得しました。このX線画像に対して、それぞれの手法を用いた時の比較結果例の一部を以下に示します。

比較結果例

クラウドリソースの活用


本システムでは、機械学習モデルをデプロイするためのモジュールが用意されているフルマネージド型のクラウドサービスを利用しています。フルマネージド型クラウドサービスは、サーバー運用管理、保守、障害時の対応などの業務を請け負うクラウドサービスです。インフラ部分が自動的に管理されるため、スケーリング(規模の増減)を容易にできるという特徴があります。このようなサービスを利用することで、私たちは、サービス負荷状態を監視しながら、安定したシステム運用を実現しております。

機械学習ライフサイクル


本システムでは、機械学習モデルのトレーニング、追跡、生産のためのワークフローの整理を容易にするオープンソースの機械学習ライフサイクル管理ツールを導入しております。高度なトレーニングやチューニングの自動化に対応しており、モデルを自動的に調整し精度を高めることが可能となっております。本システムにより、多種多様な検査データを集めることができれば、前述の深層学習を用いたアプローチにより、より一層ボイド自動検出の精度を高めることが可能となります。これは、本アプリケーションを利用する全てのユーザーにメリットなります。私たちは、自分たちの検査技術を積極的に共有し、社会全体におけるはんだ接合部の品質改善に貢献していきたいと考えています。

機械学習ライフサイクル